対称式

次の命題はよく知られた事実であり, 「対称式の基本定理」と呼ばれる. 

定理
対称式は基本対称式の多項式で一意的に表せる.

(注意:ここでいう「対称式」とは, 不定元同士を入れ替えても変わらない多項式のことをいう. したがって x^{y}+y^{x} は対称式ではない.)

証明は多項式に次数に関する辞書式順序を定義して, その順序について帰納法で示すことができる. 

 

 この定理からどのような対称式も基本対称式の多項式で表せるわけだが, 対称式が具体的にどのような基本対称式の多項式で書けるのかを調べる.

入試問題で本当に具体的な2次, 3次の対称式についての計算はあるが, 次のような一般の n 次対称式を基本対称式の多項式で表すような問題はあまり見ないと思う. 

問:対称式 x^{n}+x^{n-1}y+\dots +xy^{n-1}+y^{n} を基本対称式  x+y, xy多項式で表せ.

解答:

s:=x+y , t:=xy とする. f_{n}(s, t):=\displaystyle \sum_{i+2j=n}(-1)^{j} {}_{i+j} \mathrm{C} _j \, s^{\, i} \, t^{\, j}とおく. (i, jは非負整数)

x^{n}+x^{n-1}y+\dots +xy^{n-1}+y^{n}=f(s, t) であることを数学的帰納法を用いて示す.

n=1,2 のときはOK.

[n, n+1 のときもOKだと仮定する. ]

\displaystyle \frac{x^{n+1}-y^{n+1}}{x-y}=x^{n}+x^{n-1}y+\dots +xy^{n-1}+y^{n}であることに注意すればx^{n+2}-y^{n+2}=(x+y)(x^{n+1}-y^{n+1})-xy(x^{n}-y^{n})から

関係式  f_{n+2}(s, t)=sf_{n+1}(s, t)-tf_{n}(s, t) を得る. 

この関係式から, f_{n+2}(s, t)s^{\, i} t^{\, j}の係数は  (-1)^{j} {}_{i+j-1} \mathrm{C} _{j-1}-(-1)^{j-1} {}_{i+j-2} \mathrm{C} _{j-1}=(-1)^{j} {}_{i+j} \mathrm{C} _{j}を得る.

ただし, 式変形でパスカルの三角形の関係 {}_{n} \mathrm{C} _{r}+{}_{n} \mathrm{C} _{r+1}={}_{n+1} \mathrm{C} _{r+1}を使った. □

 

 

参考文献

m変数のn乗和を基本対称式で表してるpdfがあります.

http://nadamath2012.web.fc2.com/bushi/2012_sigma.pdf